原子力発電の地球環境に対するメリットとデメリット

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・原子力発電の地球環境に対するメリットについて

原子力発電所では、ウランを核分裂させることで発生する熱エネルギーを活用することで発電が行われています。近年、地球温暖化が深刻化してきており各国が協力して地球温暖化を防ぐ取り組みが行われています。そのような中にあって、原子力発電では、そのプロセスにおいて地球温暖化の大きな要因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に少なくできるというメリットがあります。
原子力発電で排出される二酸化炭素は、石炭火力や石油火力、LNG火力などと比較すると大幅に少なくなっており、太陽光や風力の自然エネルギーと同じくらいです。さらに、原子力発電は、大気汚染や酸性雨の原因となる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)も発電過程で排出しませんのでクリーンなエネルギーとして注目されてきたというメリットがあります。そのため、地球温暖化対策という点で他の発電方法にはないメリットがあるといえます。
また、原子力発電のメリットとして、燃料供給安定性上の利点が挙げられます。エネルギー資源調達の安定性について、世界の資源埋蔵量地域の偏在や我が国の燃料調達先の集中度、そして、輸入先の政治的・経済的安定性といった点を踏まえて定量的に評価した時、原子力発電で用いられるウランは、石炭と同じく安定的な燃料供給ができる発電方法と考えられています。
これらの点が原子力発電の地球環境に対するメリットとして挙げられます。

・原子力発電所で事故が起きた際等のリスクについて

一方、原子力発電で万が一事故が起きた時などのリスクについて言えば、2011年3月11日に起きた福島第一原子力発電所事故で起きた様々な出来事が原子力発電所での具体的なリスクの事例といえます。福島第一原子力発電所事故は東北地方太平洋沖地震による地震動と津波の影響によって、東京電力の福島第一原子力発電所で発生したメルトダウンという炉心溶融が起こりました。メルトダウンを含む一連の放射性物質の放出をもたらした原子力事故は、国際原子力事象評価尺度 (INES)ではレベル7の深刻な事故に分類されています。
2015年3月時点で、炉内燃料のほぼ全量が溶解しています。予期せぬ自然災害時の対応という点でもリスク管理の重要性が叫ばれた福島第一原子力発電所事故では、喫緊の課題として、高レベル放射性廃棄物処分地の選定や原子力発電所から出される使用済燃料の中間貯蔵に関する問題や、2018 年に期限が設定されている日米原子力協定の改定などの原子力を巡る課題が多くあり、これらが原子力発電所で事故が起きた際等のリスクの具体例として取り上げられるといえます。
福島第一原子力発電所の事故は、その後、原子力発電とそれに携わる人々に対する信頼性の問題へとつながり、どう信頼回復を図っていくのかは切実な課題として残されているといえます。福島第一原子力発電所の事故から6 年ほど経過した現在も、帰還困難区域を除いた地域の避難解除が予定されているといわれています。しかし、現在でも多くの住民が避難生活を続けています。周辺環境と放射性物質という観点から、廃炉や賠償、除染や中間貯蔵といった視点については長期的に取り組みが行われる必要があります。これには非常にたくさんの費用がかかると予測され、燃料デブリの取り出しに関する技術的課題と同様に、敷地内タンクに貯蔵されているトリチウムが含まれる水の処理という深刻な問題も残されています。
現段階では解決をすることができない問題があり、これらの点を含め、原子力発電所で事故が起きた際等のリスク管理を事前にどのように行って事故を未然に防ぐのかという点に関する議論が待たれています。

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