水資源の危機について

日本に住んでいると、水資源の危機といっても実感が沸かないはずです。日本は世界有数の森林大国であり、水資源が豊富な国だからです。水道水を飲料水として使用できるのも、世界的に見れば珍しいことです。しかし地球は水の惑星と呼ばれてはいるものの、その大部分は海水であり淡水、それも生物のために使用できる水は全体の1%にも満たないのです。

世界的に見ると、水資源の危機は切実です。例えば世界人口の1割以上が水不足に悩まされています。不衛生な水を通して感染する病気、コレラ、腸チフス、赤痢のために年間数百万人が亡くなっているのです。加えて、不衛生な水環境により病気を媒介する蚊が発生しています。こうした蚊はデング熱、黄熱病、マラリアといった重篤な症状を引き起こす病気を媒介しています。

また水不足は食糧危機を生み出しています。例えば穀物を1kg生産するためには、その千倍の水が必要と言われています。世界人口の増加に伴い、穀物の需要も爆発的に増加しています。いままで砂漠に近かった土壌でも灌漑農業をするようになり、黄河など水量豊富な河川でも干上がってしまう状況が報告されているのです。水の利権を確保するため、複数国をまたいで流れる河川をめぐり紛争が起こっているほどなのです。

実は、こうした水不足には日本が原因の1つになっています。というのは、日本は世界有数の食糧輸入国です。先程も考えたように、食糧を生産するためには、その重量の約千倍の水が必要です。こう考えてみると、日本は世界で第2位の水資源消費国なのです。水資源の危機を実感されている日本人は少ないです。しかし世界の水資源危機の原因になっているのは私たち日本人であることを自覚し、環境問題に対する意識を高めていく必要があります。

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