土壌汚染の原因とその影響

かつての工場用地の残留物や不法投棄によって引き起こされる土壌汚染は、私たちの身近にあってとりわけ影響の大きな問題です。
築地市場に代わる新たな東京の台所として期待されていた豊洲市場が、基準値を大幅に上回る化学物質の検出によって開場を危ぶまれた経緯は、記憶に新しいことと思います。
地域産業の衰退から空き用地になった工場跡が、中核となる都市圏の拡大にともなって居住・商業区域へ変わる中、こうした残留物質による影響を心配する声は多くなりつつあります。

〇土壌汚染とは

土壌汚染とは具体的にどういった状況を指すのでしょうか。
一般的には、地中に重金属や有機溶剤、油などの物質が染み込み、自然環境や人の健康、あるいは生活に対して影響を及ぼすことを言います。
土壌汚染の特徴としては、公害としての影響を体感しにくいことが挙げられます。
これは、問題となる有害物質が地中に浸透する形で影響を及ぼすために、水や空気の異常として感知できる色や臭いがないことに起因しています。
また、操業や造成当時は無害と考えられていた物質が、後の研究によって有害であると裏付けられて規制対象となる場合もあり、安全かどうかの判断をつけにくい点も、公害としての扱いにくさを特徴づけています。

〇土壌汚染の原因

土壌汚染は、製造の過程で薬品や重金属を扱う工場の跡地や、不法投棄が行われた場所、有害物質を含む土で造成された場所などで確認されます。
化学製品や薬品の製造に限らず、製造工程の一部に有害な薬品や有機化合物を用いることは少なくありません。
また、製造工程の中で有害な物質が生成され、廃棄される場合もあります。
本格的な公害対策を講じるようになる以前の工業用地では、こうした物質が残留していることがあります。
また、化学薬品や重金属系の廃棄物を不法投棄している場所では、有害物質が土壌に染み込む形で汚染を広げている場合があります。

〇土壌汚染の影響

土壌汚染による影響は、汚染された土壌周辺に限定されるものの、さまざまな形で現れることとなります。
たとえば、化学製品の製造工程で生じるベンゼンやヒ素などの化合物が大量に残っている土地に家を建てた場合、住民は地中から気化して漏れ出した化合物や、土壌中に残留している物質に曝露する危険性があります。
毒性の強い物質に曝露するようなことがあれば直接命にかかわりますし、家庭菜園など土壌を利用して作る食べ物に化学物質が染み込めば、摂取することによって健康を害する恐れも出てきます。
また、土壌汚染は地下水にも浸透するため、汚染された土地の湧き水を利用するなどの行為によって、同様に健康への影響をもたらすことになります。
さらに、有害物質の影響はその土地の植生にも及びます。
植物が根から地中の有害物質を水や栄養と共に吸い上げるため、生育が妨げられたり、枯れる原因となる場合があります。
特に不法投棄は山中で行われる場合が多いので、周辺の木々を枯らすなどして自然環境の破壊を引き起こします。

〇土壌汚染への対策

このように、土壌汚染は深刻な影響を及ぼす重大な問題です。
土壌汚染を防止し、また汚染された土壌を改善していくにはどうすればよいのでしょうか。
まず土壌汚染を防ぐ取り組みとしては、不法投棄の監視や取り締まりを徹底することが挙げられます。
取るべき対応策が明確な工業用地の汚染とは違い、産業廃棄物の不法投棄は無差別に、人目を避けて行われるため、非常に厄介な問題です。
取り扱いに専用の装備を必要とする危険な廃棄物もあるので、大量に廃棄されていると撤去そのものも難しくなります。
早期発見と取り締まりを行うためにも、継続的な監視の仕組みと地域の連携が必要と言えるでしょう。
すでに汚染された土地に対しては、有害物質の除去が必要になります。
目に見えない物質が広範に分布しているため、土木的な処置としては全体を取り去るなど大規模な対策を講じなければなりません。
そこで、微生物や植物の吸収・分解作用を利用して有害物質を除去ないし無害化する「バイオ・レメディエーション」という手法も提案されています。
いずれにしても、十分な期間をかけて徹底的に汚染を取り去ることが大切と言えるでしょう。

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